近況報告。無事医師国試に合格した。奴隷の鎖自慢が横行するファックな業界こと医療業界だが、僕自身がその末端も末端、ド底辺の仲間入りすることが決定したらしい。
年収500万、南関東在住、地域のローカル病院勤務。大したブランド病院でもない場末の三次救急で春からこき使われるらしい。平々凡々の末路、まあつまらないがそんなもんだ。
自分を神童だと誤解していた11歳も、全員殺すぞと息巻いていた12歳も、失意の中で現実逃避していた13歳も、すべてが自分で、そして中学2年生から高校3年生まで毎日没頭して過ごしたあの道灌山の汚らしい学び舎が、没頭が青春のエッセンスだとするならば、僕にとっての青春だったんだろうなと思う。今は随分ピカピカになったらしいじゃないか、あの校舎も。オンボロの校舎を使わなくていいなんて良かったじゃないか現役生ども。一生お前らが見れないボロボロの高校校舎も、古びた旧校舎も、最高に楽しかったぞ。楽しかったんだよ。ああ、もう僕も老害になってしまったのかもしれない。
当時感じていた苦痛も、鬱屈とした狭苦しさも、無力な自分への苛立ちも、視界が晴れない不安も、自分は感じているままだと思いたい。覚えていると思いたい。それでも時間という気の利いたレメディが生々しいリアリティを掻き消していく。いや絶対忘れてやらない。"いつか死ぬまで何回だって、こんなこともあったって笑ってやんのさ"とでも言ったところか。ぼっち・ざ・ろっくはいいぞ。高校を出てから見たアニメでトップクラスによかった。おまいらも見ろよな。
まあそんなこんなでつまらない社会人になっちまったよ。畜生。中高の頃は自分がなんだかんだ、なんだかんだで優秀な人間だと思っていたよ。実際世間に蔓延るゴミどもを人間にカウントするなら社会の99%上の人間より優秀である自信はあるが、僕の視界にいるのはほとんど残りの1%側の奴らなんだから、そこで殴り合って負けてたら結局僕は負けた側なのだ。ヒトモドキを人間扱いして自分を満足させるなんて行為に浸れるほどプライドは腐っちゃいないし僕の目は濁っちゃいないのだ。しかし、まあ、客観的に見て僕はtop-tierの人間にはなれなかったんだよ。それが結末である。
最近、というか今日読んだ漫画に「メダリスト」というのがあり、「全世界、私に賭けろよ!」という台詞が本当に美しく、珍しくフィクションで泣きそうになったのだが、もう一箇所のセリフでぐさっときた部分があった。
「...(才能は)限られた時間の中で証明できなければないのと同じだ」
ああその通りだ。
大学で基礎研究や臨床研究に従事して微妙な論文を3報出すことに成功して世界を特に変えることもなくオンライン上に無駄な電子情報を撒き散らして終わった僕の学部生活だが、1年次から死ぬほど頑張った、ああ頑張った、頑張った基礎研究は未だacceptされていない。なんならrevisionを実験など教えた院生にお願いすることになり、なんとも屈辱的な結果であった。authorshipを1st authorにしてもらえればまあいいっちゃいいのだが(おい)、しかし、6年かけて僕は結果を出せなかったんだ。研修医中には遅くとも論文になってほしい。このアディショナルタイムで決めることができなければ、3年目の専門が確定する段階で業績として使うことができない。それはちょっと苦しい。
「限られた時間」はこれからもつきまとう。所属先で初期と後期の5年間を与えられたわけだが、実臨床のbullshit job を覚えながら、専門分野をある程度確立し、その上でできるだけ多くの論文を出さなければならない。24歳になり未だ一角の人物にもなれていない、何者にもなれなかった人間にしては、随分都合のいい敗者復活戦のチャンスを頂けた気分である。クソが。可愛がっていた大学の後輩には論文の本数で抜かれ、同世代の学生研究に取り組んでいた連中はすでに姉妹誌レベルに一本通していたりする。なんで僕はいつまでたってもそうなれないんだろうな。「優秀なんだけど報われない人」なんだろうな。嫌気が差してしまうが。
それでもやるしかないんだよな。今までもずっと負けてきたじゃないか。勝ちたいところでずっと負け続けて逃し続けてきたじゃないか。自分に賭けられない奴が運命に勝てるわけがないってメダリストでも言ってたしな。凡人がどこまで足掻けるか、時間がかかっても見せてやりたいよ。誰に?馬鹿にしてきたお前らにだよ。
自分にbetするために必要なものはなにか考え続けていた。才能はないが、ストイックな努力も、それなりに良い環境も、たまに味方してくれる運命もある。足りない最後の1ピースはやはり「居ていい場所」であり、「自分の人生丸ごとbetできる存在」なのだと思う。
というわけで本題だが、ノリで入籍してみた。つまらないエイプリルフールの類かと思われそうだが、そんなに4/1が待ち遠しいほど労働意欲には溢れていない。本当のことである。
どんな人か簡潔に、最大限簡潔に書くなら東大卒→医学部編入の女医である。年上である。まあこれ以上は言わないでおくが。合理的思考、対話能力、実務能力、将来の安定性、価値観や生活様式の合致などにおいて、レベルの高い合格点をオールウェイズ出してくれる存在である。というか、普通に見た目が好みである。
というわけで春から医者夫婦をやっていきます。拗らせ童貞カスマインドを持ったまま既婚者になったらしい。爆速で離婚したら笑ってくれ。そしたら婚活の相談にでも乗ってくれよ、キモオタ共。
それではまた。カスの斜陽産業の末端の末端で、自己実現とプライベートのささやかな幸福をどっちも実現するために、ここからの10年は血反吐まみれで頑張っていきます。